ウェス・ボール監督作「メイズ・ランナー」("The Maze Runner" : 2014)[BD]

何者かに記憶を奪われ、迷路の中に閉じ込められた青年達が、その真意を探り、やがて脱出を図る様を描くSFアクション・スリラー作品。

記憶を失った青年は、物資と共に昇降機に乗せられている事に気付く。やがて地上へ到着すると、そこに集まった同世代の青年達が彼を出迎える。彼は状況が理解できずに当惑し、逃げ出そうとするが、そこが四辺を高い壁で囲われ、草むらで覆われた広大な敷地内で、そこに青年達が集落を作って、自給自足の暮らしを送っている事を知る。彼はしばらく牢に入れられた後、集落のリーダーのアルビーに解放される。

青年は自分が誰でどこから来たのか、何一つ思い出せずに困惑する。アルビーはここにいる皆が最初はそうだったと明かし、名前だけは数日で思い出せると伝える。アルビーは青年に集落を案内すると、食べ物や住居を全て自分達で作っている事と、必要な物資は月に一度、新入りと共に昇降機で何者かにより届けられる事を伝える。青年は壁の一辺に開く扉について興味を抱き、アルビーに尋ねる。アルビーは3つのルール、すなわち、役割を果たす事、仲間を傷つけない事、壁を超えない事を挙げ、それらを守る事で上手くやっていけると伝える。

青年は、集落に来てまだ日の浅いチャックを紹介される。青年は尚も扉に惹き付けられ、傍に近づくと、中に入らぬようにチャックに引き止められる。その時、ランナーと称するミンホとベンが扉の向こうから戻ると、チャックは彼らが迷路に詳しい事を明かし、迷路の中は危険だと青年に指摘する。青年が更に扉に近づこうとすると、そこに現れたギャリーが強引に青年を制止する。青年はそこに集まった仲間達に理由を尋ねる。その直後、扉は轟音と共に自動的に封鎖され、青年はその意味を理解する。

その夜、青年の歓迎の宴が開かれる。青年はリーダー代行のニュートに疑問をぶつけ、ミンホをボスとする俊足のランナー達が毎朝、扉が開くと同時に迷路に入り、構造を調べて出口を探す試みを三年続けている事、迷路は毎晩その構造を変えており、戻らなければ得体の知れぬグリーバーに殺される事を知る。ニュートは集落でのそれぞれの係を青年に紹介し、ランナーになる為には選ばれる必要がある事を伝える。その後、青年はギャリーとの力比べを皆に焚き付けられ、応じるが、転倒させられ、地面で頭を打った時に自分の名前がトーマスだと思い出す。その時、迷路からグリーバーの咆哮が轟き、トーマスはその存在を確認する。その夜、トーマスは、研究施設の女に「WCKDは正しい」と告げられる等の不可解な夢を見る。

翌朝、トーマスはアルビーに誘われ、敷地に来た当初の暗黒時代と称する頃について聞かされる。アルビーは大勢が恐怖やパニックで死んだ後、秩序を確立してようやく平和を築いた事を明かすと、他の者より好奇心が強いトーマスの事を懸念し、仲間だと自覚させ、壁に刻まれた名簿に名を連ねる様に促す。

その後、トーマスは作業の一環で肥料堀りを命じられ、一人で森に入る。そこに豹変したベンが姿を現すと、トーマスがやったのだと告げ、突然襲いかかる。トーマスはベンを退けると、集落に逃げ戻り、仲間に助けを求める。仲間達はベンを拘束すると、腹部の刺し痕からベンが感染していると判断する。アルビーは刺されると毒が広がり、チェンジと称する症状が生じる事を明かし、ベンが既に手遅れだと判断する。その後、ベンは閉じゆく扉から強制的に迷路の中に押し込まれる。その夜、トーマスは前夜に続き、再び不可解な夢を見る。

翌朝早く、トーマスはアルビーがミンホと共に迷路の中へ入っていくのを目撃する。ニュートはその目的がベンの辿った道を追跡する事だと明かし、集落で一番の古参であるアルビーを信頼する様に告げる。

その後、扉が閉じ始めると、ミンホが負傷したアルビーを抱えて迷路の中から姿を現す。しかし、敷地内に戻るには間に合わず、トーマスは矢も盾もたまらず一人で迷路の中に入り、閉じ込められる。ミンホはアルビーが刺された事を明かす。その直後、グリーバーの存在を感知したトーマスは、アルビーを壁を這う蔦で吊って隠す様に提案する。その途中、グリーバーが接近すると、ミンホは一人で逃げ出す。トーマスは蔦の中に身を隠して一旦はグリーバーをやり過ごすが、グリーバーはトーマスの不意を突いて襲いかかる。トーマスは迷路の中を逃げ惑う内にミンホと合流すると、丁度構造が変わるタイミングとなり、封鎖される通路にグリーバーを誘き寄せて、圧殺する事に成功する。

敷地への扉が開くと、トーマス達はアルビーを連れて生還し、皆にグリーバーを殺した事を伝える。しかし、ギャリーはベンとアルビーが刺された上に、トーマスがルール違反を犯して勝手に迷路に入った事を問題視し、罰する様に一同に提案する。ギャリーは三年間共存してきたグリーバーを殺した事で、この先に起こる事の危惧を訴える。ミンホは自分が逃げたのに、トーマスは残ってアルビーを守った事を伝えると、トーマスをランナーにすべきだと提案するが、ギャリーは猛然と反対する。その時、昇降機が作動し始め、一同は確認に向かう。

昇降機には「彼女が最後だ」というメッセージを携えた若い女だけが乗っており、皆はその真意が掴めず困惑する。女はトーマスの名を口にして意識を失う。皆は物資が届かなければ、生活が立ち行かなくなる事を危惧するが、当座は女の回復を待つ事に決める。

トーマスは迷路に入って敵の正体を探るべきだとミンホに提案すると、ミンホはその熱意に折れて密かにランナーを集め、トーマスを連れて再び迷路の中へ入る。グリーバーの死骸の元へ辿り着くと、ミンホはその中からWCKDと表記され、7とデジタル表示された筒状の端末を引き抜き、回収する。端末を集落に持ち帰ったトーマスは、それが自分達を送り込んだ奴らが作った物だと主張し、迷路に行くべきだとニュートに提案する。ギャリーはトーマスの暴走ぶりを問題視し、罰を与えるべきだと改めて主張するが、ニュートは一晩だけ檻に入れた後、トーマスを正式にランナーにする事を決定する。

ミンホはトーマスを森の中の隠し小屋へ招くと、密かに作り上げた迷路の精巧な模型を見せる。ミンホは迷路の調査が既に尽くされており、全てのサイクルやパターンも把握済みでありながら、出口が見つからない事を明かし、皆に脱出の希望を持たせるべく秘密にしているアルビーの方針を伝える。ミンホは迷路の円の外周部の調査の末、壁に1から8までの番号が振ってある事が判明しており、毎晩、構造が変わる度に新しい壁が同じパターンで開く事を明かすと、グリーバーが死んだ時に開いていた7を詳しく調べるべきだと主張する。

その時、目覚めた女が当惑して、櫓で籠城を始める。トーマスは女の説得を試み、女は自らの名がテレサだと明かす。トーマスはテレサに分かっている限りの状況を伝え、テレサが自分と同じ夢を見ている事を知ると、夢に現れたテレサに「全てが変わる」と告げられた事を話す。テレサはポケットに入っていたWCKDのアンプルを差し出す。トーマスはそれでアルビーが救えると考え、ニュートに試す様に提案する。激しい苦痛に苛まれるアルビーは、アンプルの投与後、落ち着きを取り戻し、しばらく様子を見る事になる。

夜、トーマスはギャリーに連れられ、檻に入れられる。程なく、チャックが食事の世話にやって来る。チャックは記憶に無い両親の為に作った小さな人形を取り出し、迷路から出られたら渡して欲しいと告げてトーマスに託すが、トーマスは皆が迷路から出られると約束し、自分の手で渡す様に促す。

翌朝、トーマスはミンホと共に迷路の中へ向かう。ミンホの案内で7のゲートを通り、円の外周部へ近づくと、端末が反応を始める。トーマスは端末が誘導していると悟り、ミンホもまだ入った事の無い構造物の中へ入る。その時、端末がキーの役割を果たし、更なるゲートが開くと、二人はシャッターへ到達する。二人はそこがグリーバーの出入り口だと悟るが、その時、シャッターによるスキャニングが行われると、途端にゲートが閉じ、迷路の構造が変わり始める。二人は全力で敷地まで走り抜け、辛うじて生還する。

トーマスは仲間達に出口を見つけた可能性を説く。ギャリーはトーマスの暴走ぶりを非難するが、逆にトーマスは三年もいて行動を起こしてこなかったギャリーを責める。その時、アルビーが意識を取り戻す。トーマスは出口から出られるかも知れないと伝えるが、アルビーはそれが無理で、許されないと告げると、トーマスが自分達を送った側の人間で、更に彼らのお気に入りの存在だった事を思い出したと伝える。

その夜、扉は閉まらず、更にこれまで閉じていた他の三辺の扉も開放されると、迷路の中から無数のグリーバーが現れ、集落を襲い始める。仲間が次々に犠牲となる中、トーマス達はグリーバーを退けながら、集会場に退避する。一同は抵抗の末、グリーバーの毒針を切り落とすが、アルビーは連れ去られる。程なくして、グリーバー達は一斉に姿を消す。

ギャリーはトーマスが破壊の為に送り込まれたのだと指摘し、その責任を追求する。トーマスは記憶を取り戻すべく、毒針を体に突き刺す。トーマスは昏睡している間に、テレサと共に研究施設にいた頃の記憶を断片的に取り戻す。

翌朝、トーマスは牢の中でテレサと共に目を覚ます。ニュートは新たにリーダーとなったギャリーが、彼の側に付くか、追放されるかの選択を迫っている事を伝える。トーマスは、集落が監獄では無く実験場だと明かし、皆が幼少期から試練を与えられ、実験目的で送り込まれた事を伝える。更にトーマスは、テレサと共に彼らの側から、皆の事を長年監視してきた事を明かす。ニュートはいま何をすべきかが重要だと告げ、亡きアルビーの意志を汲んで出口を探すべきだと主張する。

トーマスはギャリーの説得を試みるが、ギャリーはトーマスとテレサを縛り付け、追放では無く生贄にしようと企てる。ギャリーはグリーバーを満足させれば平穏を取り戻せると主張する。その時、ニュートとミンホらが中心となって、反乱を起こし、トーマスとテレサを解放する。トーマスが一緒に来る者を募ると、賛同者が集まり始める。トーマスはギャリーにも翻意を促すが、ギャリーが応じる事は無く、トーマスを含めた13人が集落と決別して迷路の中へ向かう。

トーマス達は再び外周部の7番ゲートへ向かうと、無数のグリーバー達が出現し、一行の行く手を阻む。一行は犠牲を払いながらもグリーバーと応戦し、その最中、テレサとチャックがシャッターへ向かう。シャッターの解錠に8桁の数字が必要な事が分かると、ミンホはトーマスに促され、迷路に振られた番号の並び順を伝える。テレサが番号を入力すると、シャッターの解錠と同時にゲートが閉じ、グリーバー達は閉め出される。

一行はシャッターを超えて、通路に出ると、程なく、出口のドアからラボに到達する。そこには激しく争いあった形跡と共に、無数の死体があり、一行は監視されていた記録を見つける。トーマスは、世界を救うWCKD計画の責任者と称するエヴァ・ペイジが残したビデオメッセージを再生する。その中でペイジは彼らが経験してきた事には全て理由があると告げ、人類の置かれている深刻な状況について明らかにする。

太陽が世界を焼き尽くし、数十億人が炎に焼かれるか、餓死に至り、更に「フレア」と称するウィルスが脳を侵食し始めた。予防も治療もできないと思われていたフレアだが、それに侵されない若者達が現れ始めた事で、治療法への希望が見出された。若者達がウィルスに耐えられる理由を探るべく、困難な状況下での脳の機能を調べる為に、人体実験が行われてきた。皆は重要な存在であり、本当の試練はこれから始まる。調査には時間がかかり、手遅れかも知れないが、皆はそうでは無く、外の世界が待っている。WCKDは正しい。

ペイジは以上の事を告げると、拳銃で自らのこめかみを撃ち抜く。途方に暮れるトーマス達が出口から外に出ようとすると、そこへ一行を追ってきたギャリーが現れ、トーマスに拳銃を突き付ける。刺されて感染しているギャリーは、ここからは出られない、迷路の中こそが家だと告げると発砲する。その瞬間、ミンホがヤリを投げつけてギャリーを射抜くが、トーマスを庇ったチャックが犠牲になる。チャックはトーマスに人形を託すと息絶える。そこに外から特殊部隊が駆け付け、皆をヘリに乗せて施設から飛び立つ。上空から迷路の全貌を眺望する一同に、部隊長は全てが変わると告げる。

一方その頃、死を偽装したペイジは、集まった側近に迷路の実験が成功裏に終わった事を報告すると共に、トーマスが期待以上の働きをしており、問題解決の鍵となる可能性を告げる。ペイジは計画を前に進め、実験が第二段階へ移る事を宣言する。トーマス達を乗せたヘリは砂漠の上空を飛んで行く。

 

 

2015年を飾るSF大作シリーズの一つだが、正直なところ、それほど期待していなかった。しかし、実際に鑑賞してみると、そつがない出来栄えでなかなか面白かった。青年達が意図も知らされずに、かなり大掛かりな迷路の中に、実験目的で閉じ込められるという、なんとも突拍子も無いストーリーだけに、終始ほとんどVFX尽くしな作風となっていてリアリティに乏しいが、SFはそういうもんだと割りきって見れば気にならなくなる。グリーバーとかいう、生物と機械を合成させた様なクリーチャーが登場するのが、その造形はそっち系を好む向きには堪らないところだ。こいつが登場しなければ、本作の魅力は半減していただろう。近未来が舞台になっていると思われるが、こんなクリーチャーを創造できるとすれば相当な科学力だろう。というか、人類の絶滅が掛かっている時に、これほど大規模な迷路をどうやって造ったのだ?金も労力もハンパなくかかるだろうに、見ている間中、そればかり気になってしまった。全三部作という事で、これから続編でストーリーがどう転んでいくのか知る由もないが、今作で迷路から脱出してしまったのだから、もうメイズランナーじゃなくね?という疑問に答えてくれる様な次作になっている事を期待する。キャストが新進気鋭の若手ばかりなのは新鮮だったな。

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